朝は有田で待ち合わせしていた。
金吾農園で出会った高校の先輩から、自然農法を実践する農家さんの元へ連れて行っていただいた。
訪れたのは、スナップエンドウを栽培されている農場。
土がとてもふかふかで、うちのハウスと全然違った。
元々、別の作物を作れられていた方から居抜きで、受け継いだらしい。
就農して3年ぐらいらしい。
収穫をしながら、少し話を聞けてよかった。
「自分らしい生き方をしたい」
ということで、こっちの方に一人で移住されてきたとのこと。
一番印象的だったのは、次の質問の答えだ。
「補助金はもらってますか?」
という質問にしたいして、
「補助金は化学肥料のようなものなのでもらいたくない」
と話をされていたことだ。
確かに、不自然なことではあるなって納得した。
こうやって、いろんな人の情報を聞けるのは貴重だ。
そして、繋げてくれる人がいることがありがたい。
ただ、情報を集めてばっかりだったら、前に進まないので、そのバランスが難しいなと思う今日この頃です。
*
午後から、市役所のほうに、色々手続きや、就農計画の話をした。
市から認められた就農計画を立てることができたら、無利子無担保で借入ができるようになる。
資金がない僕にとっては、ここはまず抑えたいところだ。
でも、就農計画を立てるのは難しい。
僕の場合、市場にほとんど流通していないものを作ろうとしているので、反収や販売先に根拠がなく、客観的な説得ができない。
有機農業や自分で販売するという計画を立てて実際には失敗してきた人たちが過去にたくさんいたらしい。
市役所の人たちは、すごくいい人で話を丁寧に話を聞いてくれた。
土地はなんとかなりそうだ。
その土地を確保するための、手続きも手伝ってもられるようになった。
新しく建てる訳ではなく、今使われてないけど、ハウスの骨格が残ったやつを使いたい。
そしたら、かなり費用は抑えれる。
一つ気になったこと。
先に就農して、1年か2年後に、認定新規就農者として市に提案したらどうかということだ。
すごく、市役所の言い分はわかる。
実際に動いているからこそ、数字的な根拠はわかりやすい。
ただ、そもそも、この制度は、農業を始めて数年は所得がないから、そこを制度によって補填するというものだと思う。
所得がない最初の数年を我慢して、ある程度作れるようになって、申請をするのでは意味がない。
制度の目的と責任問題で、ルールを重んじる行政の判断がちょっとずれてるなって思った。
所得がない、今、必要なんだ。
でも、皆さんの税金を使って、行うことなので、責任問題になるし、うまく行くかわからないものを認めない市役所の気持ちはわかる。
だって、前例がないから。
僕は大学で生物を専攻していた。
生物のシステムはすごく面白い。
例えば、蟻。
蟻は、餌があればそれを群れをなして進む。
全ての蟻が一列になって、きれいに並んでいるように見える。
しかし、中にはこの列とは全然関係ない方向にフラフラと進む蟻もいる。
この蟻は、今みんなが追いかけている餌には届かない。
全然合理的ではない。
今、みんなで追いかけている餌は、いつかは無くなる。
でも、常に新しい餌を見つけれるのは、このみんなと同じように列に入らずフラフラしている蟻が新しい餌を発見するからだ。
こうして、蟻はリソースを分散して、リスクに耐えている。
農業もきっと一緒で、新しいことをチャレンジしないと、きっと、このまちはいずれ衰退すると思う。
なので、メインではない別のところに少しリソースを使うというのはリスク分散として合理的なんではないだろうか。
僕は、こういう仲間外れの蟻になりたい。
みんなと違うように進んでいるけど、新しい餌を見つけて、また他の蟻達に新しい餌のありかを教えて、新しい行列を作る。
そういう存在になりたい。
市役所の人たちと話をする中で、確定ではないけど、なんとか光が見えてきた気がする。
打開策が少し見つかった。
とりあえず、今は、計画を立てながら、小さく今ある畑で自分ができることをやりたい。
2時間ちょっと休憩なしで付き合ってくれた市役所の方々に感謝。
市役所の人たちに、
伊万里で一番の農家になります。
って言ったら、笑われた。
目標が低かったんかな。