福岡から来たボーダレスの先輩は、前の日遅くまで起きていたにも関わらず、朝6時から仕事を手伝ってくれた。
朝のうちに福岡に戻らないという超バタバタなスケジュール。
伊万里にいた時間よりも、移動の時間の方が長かったんじゃないかなー。
それでも、一緒に居た時間は、すごく濃くて、僕にとっては、忘れられない時間になった。
先輩は、東大卒で、更に大学院まで出てて、東南アジアの貧困問題について研究されていた。
インドネシアの話になった。
「インドネシアは、ジャワ島とそれ以外の島では農業の仕方が違って、」
この話がすごく面白かった。
インドネシアは、1万3000ちょっとの島からなる国だ。
そのうちの一つに、ジャワ島というのがあり、ほとんどの人はジャワ島に住んでたらしい。
その理由は、ジャワ島が肥沃な土壌を持っていたから。
他の島で、農業をやろうとすると、焼畑をやらないといけなくて、そのためには定住することが難しく、島々を行き来しないといけなかったから、それほど人口が増加しなかったらしい。
ジャワ島の農業の発展方法も非常にユニークだった。
日本における江戸時代の農業は、鍬や鋤など農機具を作り、一人当たりの労働生産性を上げていった。
それに対して、インドネシアでは、農地で働く人の数を多くして、土地あたりの生産性を高めていったらしい。
人口のほとんどが農業に従事していたらしい。
「可耕地に限界があるという条件下で、労働投入を増大させることによって産出量の増加を実現する」
これをインボリューション理論というらしい。
また、国としての機能は、主に貿易で、イスラム商人を通して活発に商売をやっていた。
紀元前後から 16 世紀までは金銀・鼈甲・真珠・各種香辛料、17 世紀か らは香辛料に加えて砂糖・コーヒー、20 世紀に入ると砂糖・石油・ゴムなどを輸出していたようだ。
国民から税金を徴収することは無かったらしい。
内と外で見事なバランスが取れてたようだ。
18世紀から、オランダの支配下に置かれて、いろんなことがぶっ壊されたみたいだが。。
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作家のはあちゅうさんが、どこかで、「速攻性コンテンツと遅効性コンテンツ」という話をされていた。
即効性コンテンツは、ビジネス本のようなすぐためになる情報。
遅効性コンテンツは、歴史や映画や小説、音楽など、ためにならないような情報。
もっというと、
即効性コンテンツは、<答え>を与えてくれるコンテンツで、遅効性コンテンツは、<問い>を与えてくれるコンテンツとも言える。
どれだけ多くの<問い>を持てるかで、人生が豊かになる気がする。
インドネシアのインボリューション理論。
僕としては、非常に面白かった。
福岡から来たボーダレスの先輩は、こういう知識が非常に豊富だったから、話をしてて、すごくすごく楽しかったんだろうな。
社会人になって、間もない僕にとっては、いかに多くの<答え>に出会うかよりも、いかに多くの<問い>に出会あるかの方が重要な気がする。
車で先輩を駅まで送ってて、そう思った帰り道だった。