素ヱコ農園の日々

佐賀県伊万里市で便利になった世の中で、手間のかかるストレスフリーの平飼いで外国産の餌に頼らないこだわりの餌作りを行っています。

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たおくん、バイバイ!

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2週間ほど素ヱコ農園に研修に来ていた、たおくんが帰った。

 

次はカンボジアに行くらしい。

 

たおくんは、フィリピンでサトウキビ農家を援助する事業を立ち上げるために起業予定だ。

 

既に会社から承認も降りていて出資してもらうことが決まっている。

 

でも、今、フィリピンはコロナの影響で封鎖されており、しばらくはカンボジアで事業立ち上げのサポートとして滞在することになりそうとのこと。

 

たおくんが今後、どんな活動をしているか、気になる。

 

 

たおくんが来てくれてよかったと本当に思う。

 

一人ではなかなかやりづらい仕事があったが、たおくんがいたお陰でだいぶ片付いた。

 

人が一人いるだけで、こんなにも業務が進むのかと、改めて一人の存在の大きさを感じた。

 

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せっかく研修にわざわざ来てるので、僕はたおくんに自由時間を作った。

 

自由時間といっても、養鶏のことを学ぶための勉強時間。

 

何冊も養鶏の本を貸した。

 

たおくんは真面目にそれらをちゃんと読んでいた。

 

そして、僕がやってる作業の意味を理論的にちゃんと押さえていた。

 

真面目に勉強するというのは当たり前のようだが、なかなかできないと思う。

 

慣れない農作業と早起きで身体はかなり疲労していたと思う。

 

そういう基本的なことをしっかりとできるたおくんを僕は尊敬している。

 

 

 

そして、実務以上に、今後の事業展開や個人的な悩みについてなどいろんな面を話せたことが僕にとって非常に大きかった。

 

たおくんは、しばしば、利他という言葉を使っていた。

 

改めて、その意味を辞書で引くと、

 

自分を犠牲にして他人に利益を与えること。他人の幸福を願うこと。(広辞苑)

 

と出てくる。

 

確かに、たおくんは利他の人だと思う。

 

よく使う言葉は、その人自身を形成し、そして、その人生にも大きく影響与えると思う。

 

北海道大学卒業で、いい会社に入って高い給料もらえるのに、フィリピンで起業する道を選んでいる。

 

きっと、たくさん苦労することだろう。

 

利他を意識して、日々行動していることはとてもカッコいいと思う。

 

 

たおくんは、「なぜ、それをやるのか?」をとても大事にしている人だった。

 

 

「なぜ、養鶏をやっているのか?」

 

「なぜ、伊万里に住んでるのか?」

 

僕は、一人で10年以上頑張っていたばあちゃんと暮らしたかった。

 

僕は、一度しか無い人生を言い訳せずに生き切りたいと思った。

 

僕は、田舎でも、言い訳せずに、夢を持てる人を増やしたいと思った。

 

素ヱコ農園。

 

我がままな思いや行動がどんどん循環していくように。

 

我がままな鶏や農作物が、人に感動を与えるように。

 

改めて、自分のことを考えるきっかけになった。

 

また会おう。

 

僕も頑張ります。

 

 

電話と農業とサービス業

電話がかかってきた。

 

 

相手は直売所からだった。

 

いきなりかかってくる電話は、ドキッとする。

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昨日も大阪のお客様から電話がかかってきて、卵が割れたという電話だった。

 

その知らせを聞いた時、大阪からわざわざうちの卵を買ってくださったのに申し訳なかった。

 

運送業者の方とも話をして、こういうトラブルが今後、起こらないように対策を立てると共に先方にもミスしたことを謝罪した。

 

 

他には、今日、ある飲食店さんからの電話もあった。

 

その電話はうちの卵を使いたいという話だった。

 

何も問題がなくて安心した。

 

そして、嬉しくなった。

 

 

 

そんな感じで、電話は悪い連絡もあるし良い連絡もある。

 

割合的には良い電話の方が多いのだが、どうしても電話がかかってくるとびびってしまう。

 

 

直売所からの電話はやはり僕をビビらせた。

 

 

でも、その内容は予感していたものとは違った。

 

「松本さんですか?卵持ってきてもらえますか?卵すぐ売り切れたんですよね」

 

「わかりました。持ってきますね」

 

 

この直売所は一番初めに挨拶に行った時に、

 

「うちは卵たくさんあるから」

 

とあまり相手にしてもらえなかったところだ。

 

 

その直売所の方から「もっと持ってきて欲しい」と頼まれるのは素直に嬉しかった。

 

 

それにしても、電話はやっぱりドキッとするな。

 

LINEでのやりとりが普通になってるからだろう。

 

 

 

 

たおくんとの話をしてて、考えさせられたことがある。

 

それは農産物のあり方はついて。

 

僕の卵は、普通の卵より高く、嗜好品に近いと思う。

 

だから、僕は、その卵を作ることは、農業というよりサービス業ではないのか?と思ったことがある。

 

その疑問をたおくんにぶつけてみた。

 

そしたら、たおくんは

 

「もっと農作物はサービス業的になるべきだ」

 

と話した。

 

「食材を食べる時に、ただ食べるだけではなく、それを作っている人の顔が想像できたり、その作物ができるまでの背景を想像しながら、食べることはとても豊かなことだと思う。

もっともっと、農作物は消費者に背景を知られるべきだし、生産者のことも知られるべきだ。」

 

この意見を聞いて、確かにと思った。

 

ご飯を食べる時に、それがどんな苦労やこだわりがあって誰がどんな場所で作っているかなどを想像できたら、それはとても心が豊かな時間なはずだ。

 

ただ食べるだけではなく、そういった付加価値をつけることが農業ではないなら、農業じゃなくてもいいのかもしれない。

 

農業とかサービス業とかそんなの関係なく、豊かな時間を提供できる人になりたいと思った。

 

 

 

 

たおくんがいることで

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たおくんが来てくれたことで、素ヱコ農園及び僕自身にとても良い影響をもたらしていると思う。

 

 

現在、鶏の世話から卵の箱詰め、卵の販売や経理など全ての作業を一人でやっているため、日々の作業でいっぱいいっぱいで、改善したくてもできないところがたくさんあった。

 

たおくんがいることで、どんどん仕事がさばけて、今まで手が届かなかったことができている。

 

ずっと作りたかった餌箱も製作できたし、産卵箱の改善もできた。

 

餌箱に関しては、僕がじいちゃんの法事に行っていた間に、一人で全部作ってしまったから、感心した。

 

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昼ごはんあったのに、昼ごはんも食べずにひたすら作業してくれていた。

 

たおくんの集中力に脱帽した。

 

結果が出る人は、スイッチが入ると異常なまでにのめり込む人が多い。

 

たおくんがいるうちに、夏場に向けての高温対策として黒寒冷紗をかけたり、産卵箱を増設したり、応急処置用の部屋を作ったり、簡易的な直売所の製作をしたいと思う。

 

こういう作業的なハード面だけでなく、ソフト面もいろんな刺激をもらっている。

 

 

今までは、やるべきことをノートにまとめていたが、たおくんが紹介してくれたアプリのtrelloを使うことで、スマホで随時確認できて、かなり便利になった。

 

さらに、たおくんと話をしていると、僕の能力的な課題も見えてきた。

 

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気づいたことは、僕はコピーライティング能力に乏しいということ。

 

今まで、僕は選んでもらうということをあまりやってこなかった。

 

これまで卵の販売は定期購入の方や飲食店メインだった。

 

そのため、いろんな卵がある中で、いかに目立つかやいかに心に響くか?などは考える必要がなかったので、そこの能力が育たなかった。

 

でも、今後は直売所やスーパーやECショップなどでの販売も増えていくだろうし、数ある食品の中で、いかにうちの商品を買ってもらうか?を考えることも大事になってくる。

 

そうなった時に、お客さんは誰で、そのお客さんにはどんな言葉を伝えると買ってもらうかなどを考えていく必要がありそうだ。

 

コピーライティングについて今まで全然考えたことなかったけど、いい機会なので少し勉強してみようと思う。

 

そうだ、僕は自己紹介とかも苦手なので、その辺もコピーライティング能力で、自分自身をどう表現するか?とかにつながってくると思う。

 

 

たおくんといることで、自分自身をたおくんと比較して見ることができるので、自分のことを今までと違った角度でみることができた。

 

こういう環境を作ることを意識したいなと思った。

 

 

人と一緒に仕事をするって、いろんな意味でいい。

 

フィリピンのサトウキビ、たおくん

たおくんが素ヱコ農園に来た。
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養鶏を学びたい、と知人の紹介でうちに1週間程度泊まりこみで手伝うことになった。

 

たおくんはボーダレスジャパンという会社に所属している。

 

たおくんはすごく面白い人だ。

「フィリピンのサトウキビ農家の貧困を無くしたい」

とボーダレスジャパン内で起業することが決まっている。

学生時代に大学を休学して、フィリピンなら一年間行ったときに、フィリピンの現状にショックを受けたらしい。

ボーダレスジャパンという会社は、社会問題をビジネスで解決するというソーシャルビジネスをやっている会社だ。

 

 

貧困問題や環境問題など、NPONGOがやるような社会貢献活動をビジネスで解決するということを目標にやっている。

 

 

たおくんは、ボーダレスジャパンに出資してもらい、フィリピンで貧困に苦しむサトウキビ農家に寄り添うような事業をやることが決まっている。

その中で、養鶏に興味があるいうことで知り合い経由で繋がった。

 

 

この話が来た時に、僕はまだ何も出来てないし、うちよりすごい養鶏場はいっぱいあるから、断ろうとした。 

でも、たおくんは、手作りでゼロから養鶏をスタートさせたところを見たいからとうちに来てくれた。

1週間ぐらい泊まりたいそうだ。

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たおくんは、朝早くから、餌やりや草刈りなど、 なんでも一緒に手伝ってくれる。

 

作業の合間、いろんな話ができて、刺激になっている。

 

 

たおくんの会社は、新卒に1000万円渡して自分達で計画し事業をやらせるという会社だ。

 

昨年は自分達で事業をやったが、なかなかうまくいかなかったらしい。

 

でも、自分達で事業を行う中で、いろんなことを学んだんだろうなと確信した。

 

 

たおくんとの話の中で、特に印象に残ったことは、

モチベーションや個人の感情などは無視して、
自分の事業や目指したい社会にとって関係あるかどうかで行動すべきだという話。

 

 

確かに、営業する時に話しかけるのは恥ずかしいけど、事業にとってはやった方がいいので、話しかけた方がいい。

 

 

自分の感情に左右されずに、事業ありき、志ありきで行動したいと改めて思った。

 

 

モチベーション高いとか低いとかは、事業を進める上で本当に無駄なことだなと。

同級生のたおくんが来てくれたことで、仲間ができたようでとても嬉しい。

 

 

仕事のことももちろんだし、くだらない話でも、
とにかくいろんなことをざっくばらんに話せる。

高校時代に会ってても友達になっていた気がする。

 

 

だって、楽天に入社した友達が、楽天カード入会するための勧誘の電話してきたのに、営業の仕方にダメ出ししてたところとか笑ってしまった。

他にも、出身校である名門の北海道大学というブランドを使って、モテてようとしてたり。笑

改めて、仲間って大事だなと思った。

まつばやにて、販売開始

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昨日からまつばやというスーパーにうちの卵を置いている。

 

全店舗に置くことは可能なんだが、配達の手間もあるので、伊万里の2店舗と有田の1店舗に絞って置いた。

 

バーコードを貼ったりする作業など、初めてでどうしていいかわからなかったが、店員さんが優しく対応してくれてた。

 

卵を棚に並べながら、買ってもらえるかなとドキドキしていた。

 

正直、スーパーに売るのは、ちょっぴり怖かった。

 

なぜなら、卵が自分の目の届かないところに行ってしまうから。

 

 

うちの卵は鶏の環境や餌にこだわっていて、スーパーで並ぶ普通の卵と比べるとかなり手間暇かかっている。

 

その分、卵の値段も高くなる。

 

卵を食べたら味も違うし、平飼いの卵を買うこと自体がサステナビリティ(持続可能性)やアニマルウェルフェア(動物福祉)への投票に繋がると思うから、僕は多少高い値段でも十分価値があると思っている。

 

ネットでは、東京の方や愛知などの遠方の方がわざわざ買ってくれるし、定期購入してくださってる方の中にも、これまで卵食べれなかったけど、素ヱコ農園の卵は食べれるからと言ってくださる方もいる。

 

とにかく食べてもらったらその違いがわかる。

 

でも、他の卵と比べたら値段が高いから、普通の卵と並べた時に、なかなか手が伸びにくいのではないかなと思っていた。

 

だから、自分の手で売らないと、どこか安心できなかった。

 

それだと自分の手の届く範囲しか買ってくれないことになる。

 

買い手にも、手軽にお店で買えないことは負担になっていたと思う。

 

自分の手が届かない方に届けるためにも、いろんな方と協力してやっていかないといけないなと思い、スーパーでの出品することになった。

 

 

初日の売り上げは以下の通りだった。

【脇田店】

購入数5点 合計1940円

【有田店】
購入数2点  合計776円

【六仙寺店】
購入数2点 合計 776円

 

この結果を見て、やはり売るのは大変だなと思った。

 

お客さんが書いて慣れるまでには半年ぐらいかかるとどこかで聞いたので、今後も継続して、卵置いて結果を見てみたい。

 

 

インスタで、スーパーで、うちの卵買えて嬉しいと、書いてあって嬉しかった。

 

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ブログを書きながら、自分の手で売らないと安心できないと言った自分に対して思ったことは、

 

もし、自分の手で売らないと安心できないのなら、自分の手でより多くの人に売ることを考えろよ!

 

だ。

 

いろんな方と協力しつつ、個人の力もつけないといけないなと思った。

入籍

本日、美和さんと入籍いたしました。

 

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出会った頃から、とても気が合うなと思っていました。

はじめてのデートは、農場でゴミになっている鉄をひたすら切るという謎のデートでした。

そのあと、鉄を切ったお金で一緒に鍋をしたのを記憶してます。

 

 

仕事立ち上げたばかりで、収入も休みもほとんどなく、とても不安定な僕なのに、寄り添ってくれる素敵な方です。

今の僕について来てくれる人は、美和さんぐらいしかいないんじゃないかなと思います。

信じてくれる彼女を裏切らないためにも、コツコツとやるべきことをやって良い方向に持っていきます。

 

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皆様、結婚し、ますます気合いが入っている松本を今後とも、よろしくお願いします。

 

 

じいちゃんとは、もう

じいちゃんが帰らぬ人となった。

 

3日前に葬式があった。

 

85年の命だった。

 

じいちゃんは、母方のじいちゃんで、小学校卒業するまで一緒に住んでいた。

 

僕は中学生になってから隣の市の父方のばあちゃんのところに引っ越しした。

 

引っ越したことで、住むところは離れたけれども、じいちゃんのところには頻繁に会いに行っていた。

 

 

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じいちゃんは、海の男だった。

 

唐津の湊(みなと)という港町の漁師の家に生まれた。

 

じいちゃんは、県の職員で、警備船に乗っていた。

 

危険なこともあったらしく、中でも、北朝鮮に捕虜になった人を迎えに行く仕事は聞いててドキドキした。

 

命がけで、北朝鮮の湾の中へ、船で迎えに行ったらしい。

 

また、じいちゃんは小さいころに戦争経験してて、そのころの話をよくしてくれていた。

 

海に居たら、戦闘機が飛んできて、船の影に隠れて身を潜めた話とか、ご飯がなくて、芋ばかり食べていた話とか。

 

北朝鮮に行った話や戦争に行った話など、じいちゃんの話はいつも臨場感があって、聞いてて楽しかった。

 

じいちゃんは、真面目で几帳面な性格だった。

 

 

車のガソリンは常に満タンで、布団のちょっとした歪みも嫌がる人だった。

 

趣味という趣味は、じいちゃんには、ほとんど何もなかった。

 

強いて言えば、競艇の結果が載ったチラシを毎週眺めていたことぐらいかな。

 

その分、ばあちゃんを誰よりも愛していた。

 

じいちゃんとばあちゃんは、買い物に行く時も、寝る時も、いっつも一緒にいた。

 

オシドリ夫婦とはじいちゃんとばあちゃんのような人たちのことを言うのだと思う。

 

 

 

ばあちゃんは、昨年、脳出血を起こして、記憶が無くなってしまった。

 

コロナのせいで、ばあちゃんになかなか会いに行けなかった。

 

じいちゃんは、僕と一緒に、ばあちゃんの病院へリモート面会に行って

 

「てるこ〜(ばあちゃんの名前)!てるこ〜!」

 

と満面の笑みを浮かべて、全力で手を振っていた。

 

 

唯一の支えだったばあちゃんと離れ離れになったことで一気に弱っていくように見えた。

 

そして、今年の3月にガンがあることがわかった。

 

それから、どんどん容態が悪くなり、1ヶ月ちょっとで帰らぬ人となってしまった。

 

 

緩和ケアに移って3日目、じいちゃんの姿を見に病院に行った。

 

コロナの影響で病院に入れなかった。

 

外からじいちゃんを見た。

 

じいちゃんの吸う一呼吸、一呼吸がマイナス30度の冷気を吸うかの如く、とても痛そう苦しそうで、見ていてとても辛かった。

 

そんな中でも、笑いながら、僕に話しかけてくれた。

 

じいちゃんは家族に優しく、家族からも慕われていた。

 

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じいちゃんともう会えないということがまだ信じられない。

 

現実を受け入れれてない自分がいる。

 

 

じいちゃんは、カッコよく、優しい人だった。

 

笑顔が思い浮かぶ。

 

寂しい。