素ヱコ農園の鶏がいなくなりました。
300羽。
いつもなら、僕が鶏舎に近づくとばーっと寄ってくる鶏たち。
そこに行っても静かなまま。
鶏たちはもういません。
肉として出すために出荷したからです。
すっからかんになった鶏舎を見ると寂しく感じます。
素ヱコ農園ではだんだん卵を産まなくなるので、鶏の年齢が1年から2年ぐらいで出荷します。
鶏は通常10年ぐらい生きます。
本来なら寿命が尽きる最後まで飼っていたいですが、僕たちは卵を取って生計を立てている以上、卵を産まなくなった鶏を飼い続けることは経営的に難しいです。
昨日まで毎日欠かさずに餌やりをしていたので、お別れとなると、なんとも言えない気持ちになります。
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「お肉として、スーパーに並んでいる鶏の年齢って知ってますか?」
答えは、生まれて45日です。
鶏は誕生して180日ぐらいで卵を産み始めるので、そのぐらいの日齢が大人になる頃です。
僕たちが食べている鶏は45日なので、人間でいうと幼稚園児ぐらいでしょうか。
スーパーで食べている鶏肉は45日と若い鶏なので、柔らかいですが、僕たちが出荷する鶏は700日800日ぐらいなので歯ごたえが固く、廃鶏と呼ばれていてなかなか値段がつきません。
ある養鶏場に「卵を産まなくなった鶏はどうしていますか?」と話を聞くと
「業者に無料で持っていってもらう。自分達じゃ処理できないから」と話をされていました。
無料で持っていってもらうほど、廃鶏というのは価値がつかないみたいです。
素ヱコ農園の廃鶏を食べたことありますが、確かに歯ごたえがかなりあったり、肉付きもあまり良くないですが、旨味があって美味しかったです。
広々とした空間でストレスがなく育って、餌もこだわったものを与えて大切に育てた鶏たちです。
普通の廃鶏と同じように価値がつかないのは嫌です。
肉として最後までいただきたいです。
今回、廃鶏にした鶏肉が100キロほど出る予定です。
まだ使い道はありませんが、冷凍していろんな方法で最後まで味わいたいと思います。
親鳥が好きな方やお世話になっている方にはお裾分けしても良いかなって思っています。
まだまだ体制が整っていませんが、今後継続してこのように廃鶏が出てくるので、廃鶏を最後までいただく仕組みというのも整えていかないといけないなと思います。
飲食や加工の分野は素人で技術的にも不安はありますし、機械や設備、許可等いろいろ準備が必要だとは思いますが、チャレンジしていきます。