特別支援学校の高等部の生徒が、1週間職場体験に来た。
オランダにいたときにケアファームに見学に行ったことがあり、僕自身が農業と福祉の連携については少し興味があった。
就労継続支援施設にはA型とB型の2種類がある。
ここでは詳しい内容は割愛するが、今回職場体験に来てくれた生徒さんはA型の就職や一般の企業への就職を目指している方だ。
事前の情報では、体力面はかなりすごいが、コミュニケーションに少し不安があるとか書かれていた。
僕もそうだが、従業員の田中もこういった受け入れは初めてで少し不安だった。
自分が職場体験に行ったのは、中学生の時だった。
その時、僕は、税関に職場体験にいったが、何をしたかあまり記憶がない。
税関の仕事は複雑だから、業務に携わるというより、座学のようなセミナーを受けていたような覚えがある。
職場体験に行くのだから、その職場のリアルな働き方を体験してもらうのが、一番良いねってなった。
そして、少しでも、「働くこと」をイメージしてもらえたらなと。
僕らは鶏のお世話をしながら、自分達で考えて、養鶏場を作ったりしているので、どういうふうに考えて行動しているかを見てもらいたいなと。
生徒さんには、「当たり前にやる。お客様扱いしない」ということを伝えた。
鶏をお世話するっていう仕事は、きっとやったことがないはずだ。
初日、生徒さんは鶏にびびっている様子だった。
でも、与えられた仕事を的確にこなしてくれた。
2日目、初日とは変わって、鶏に慣れてきたようだった。
3日目、こちらの指示をしっかりと守った上で、自分なりに考えて工夫していた。
4日目は、それまではこちらのスタッフがつきっきりだったけど、1人で仕事をしてもらった。目標としていたところまで自分1人できちんと仕事をやり遂げてくれた。
最終日、職場体験は怪我なく終わることができた。
終わった後の先生と保護者さんとの面談で、「ここに来れて本当に良かったです」といってもらえたことはすごく良かった。
事前の書類で、コミュニケーションに多少不安があることが書かれていた。
確かに、声は小さいなと感じたし、聞いたことに対する返答が遅かったりした。
職場体験中、視察に来た先生は、「返事を大きくしなさい」と何回か指導されていた。
それを聞いたうちのスタッフの田中は先生に「別に気にならないですよ」と言っていた。
今回の受け入れで、僕自身もいろいろと考えた。
「どんなきっかけで特別支援学校に行くようになったの?」と僕は生徒さんに聞いた。
すると、「頭が悪かったんです。テストで0点何回も取りました。」と返ってきた。
「勉強苦手だったんだね。じゃあ、15×2は何?」と聞いてみた。
「うーん。。。。わかりません。」
「15+15はわかる?」って聞いてみた。
すると、すぐに「30」と返ってきた。
全然、算数ができないわけじゃなさそうだった。
「15+15は15×2ってことだよ。掛け算はそれがそれがいくつあるか?ってことだよ。じゃあ、15×3は?」って聞いてみた。
すると、すぐに「45」って返ってきた。
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今回1週間職場体験に来てくれて、とても、楽しそうに働いてくれているのが伝わった。
もし、彼がよければ、うちに入ってくれてたら嬉しいなと思った。