昨夜は鶏舎に泊まった。
これ以上鶏がやられないように。
やることは、侵入経路を防ぐこと。
従業員と一緒に見回りをして、全ての業務をストップして、リスクがありそうなところを補修した。
また、防獣用のライトや音がなる機械、電気柵なども買った。
僕らがいろんなものを買いすぎて、ホームセンターの防獣コーナーは品薄になっていた。
命が守れるなら、過剰なぐらいがよいなと思う。
そうして準備をしていると夜になった。
養鶏場は四方を山に囲まれているので、かなり暗い。
何度か獣が来たように感じたが、見間違えかもしれない。
ずーっと、これと言った動きもなく、もういいかなと思いながらも、なかなか寝れない。
そんな時間を過ごしているうちに朝になった。
一回も獣は来なかった。
とりあえず、鶏が獣にやられなかったので、安心した。
また100羽やられたら、会社的にもかなりピンチだ。
*
妻から聞かれたことで、ハッとしたことがある。
「もし、鶏がみんないなくなったらどうする?」
「そうなったら、養鶏場をしっかりと整備して、また鶏飼うよ」
すぐ答えが出てきた。
鶏を辞めて、他の仕事をやるとか、別の企業に就職するとかいろいろ方法を考えたが、やはりこの答えしかなかった。
妻から質問されるまで、そのことに全く気づかなかった。
大学では生化学を勉強していて、営業の仕事やライターの仕事とかも経験して、ある程度いろんな仕事が出来ると思っていた。
でも、今は養鶏以外に考えられない。
僕の目的は、田舎で挑戦する人を増やすことだ。
だから、この先、農業だけでなく、様々な事業に挑戦していきたいと考えている。
でも、今の僕は養鶏しかない。
そこに全力をかけようと強く思えた。
素ヱコ農園をたくさんのお客様に愛される農園にしたい。