あたり一面を見渡すと、青々と草が生い茂ってきています。
ほとんどの人にとって身の回りに生えている草など関心ごとではないでしょう。
でも、私は違います。
理由は、私が歌人だからです。
私は野に生えているハコベを見てしまうと、さて、どんな俳句を作ろうかと、ついつい考えを巡らせてしまいます。
これが良くも悪くも、歌人の癖です。
ただでさえ、今忙しくて考えることが多いのに、俳句のことで、頭の中がいっぱいになります。
どんな季語にしようか?
この文字は何文字だろうか?
雰囲気はどんなだろうか?
考えるだけではいけないので、とりあえず、形にすることが大事です。
そこでとりあえず、一個作ってみました。
七草や出てきたばかりで鶏口へ
これは春になり、やっと地上に出てきたのに、鶏の餌として食べられてしまう七草の儚さを読んだ句です。
養鶏家からしたら、はこべやホトケノザは鶏のの大好物なので、この七草を待ってましたとすぐに刈り取って鶏にあげたいという気持ちを表しています。
きっと鶏たちは春を感じながら、この七草を食べてくれていることでしょう。
あぁ、俳句のことを考えていたのに、結局鶏のことを考えてしまっています。
春という明るく華やかな季節に想いを馳せていたのにも関わらず、結局、いつのまにか鶏の話になってしまうという話でした。