素ヱコ農園の日々

佐賀県伊万里市で便利になった世の中で、手間のかかるストレスフリーの平飼いで外国産の餌に頼らないこだわりの餌作りを行っています。

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ケダモノとモジモジ

理性がなく欲望のままに行動するものをケダモノという。

 

遠慮や恥ずかしさなどのために、はっきりした態度がとれないさま、また、落ち着かないさまをモジモジという。

 

 

 

新しい季節を祝うかのごとく、あちこちに緑のリボンのような新芽が生い茂り、立っているだけでふかふかのベッドに寝っ転がってるような気持ちの良い晴れた日に、私は「ケダモノ」と「モジモジ」を見た。

 

 

 

私はヤギを飼っている。

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白ヤギと黒ヤギ。

 

2頭ともオスだ。

 

ヤギは群れで行動するため、ずっと一緒にいるが、よくケンカしている。

 

2頭は性格が違う。

 

白ヤギは人懐っこいが、黒ヤギは警戒心が強い。

 

 

 

父から電話がかかってきた。

 

「ヤギを交換したい人がいるから、紹介しても良いか」

 

数分後、知らない番号から電話がかかってきた。

 

「ヤギを交換しないか。うちはメスばっかり3頭いるから」

 

ということで、電話のおじさんと、ヤギを交換することになった。

 

話は早く、そのおじさんはその日の夕方にメスヤギを軽トラに載せてやって来た。

 

メスヤギを載せたトラックが来た瞬間、うちの白ヤギがすごい勢いで走ってきた。

 

 

軽トラックを追いかけた。

 

軽トラックが止まり、メスヤギを解き放った瞬間に、うちの白ヤギはそのメスヤギを舐め出した。

 

メスヤギは嫌がっていた。

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そんなことを無視して、しばらくすると、メスヤギの上に乗り出した。

 

メスヤギは嫌がっていた。

 

そんなことは無視して、白ヤギはどんどんメスヤギを攻めた。

 

あぁ、これが「ケダモノ」なんだなと思った。

 

おじさんは、白ヤギではなく、黒ヤギが欲しいと言った。

 

黒ヤギは警戒心が強く、人には絶対近づかない。

 

おじさんと僕で黒ヤギを捕まえようと何度も試みたが、結局無理だった。

 

一定の間合いを常にとり、餌をやっても、何をしても絶対に僕らに近づかなかった。

 

おじさんは諦めて、白ヤギを連れて行くことにした。

 

白ヤギはメスヤギのことしか考えてなかったので、捕まえるのが簡単だった。

 

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残されたのは、メスヤギと黒ヤギ。

 

私は黒ヤギのことを頭がよく警戒心が強いヤギと思っていた。

 

でも、違った。

 

黒ヤギは、ただのモジモジだった。

 

黒ヤギは人間にだけではなく、メスヤギとも一定の距離を保っていた。

 

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よく見ると、メスヤギに近づきたいけど、びびってモジモジしているようだった。

 

おしっこ漏らしていた。

 

 

私が黒ヤギに近づくと、僕から逃げることを口実にしたように、メスヤギに近づく。

 

そして、絶妙に近くなったら、メスヤギを舐めようとするのだが、嫌がられて、また離れる。

 

また、私が黒ヤギに近づくと、それを口実にメスヤギに近づくが、嫌がられるから、それにびびって離れる。

 

モジモジだ。

 

白ヤギと黒ヤギ。

 

ケダモノとモジモジ。

 

対象的な2頭。

 

ヤギもちゃんと恋愛しているんだなと思った。

 

おそらく、白ヤギをあのままにしていたら、確実に子供できていただろう。

 

それぐらいケダモノだった。

 

 

黒ヤギは、メスヤギをまだ落とせてないみたいだった。

 

今朝もまだ一定の距離を保ってモジモジしていた。

 

黒ヤギとメスヤギは結ばれるのか。

 

中学生の恋愛を見ている気分になった。