NHKの取材が来た。
「読書家を探してます」
数日前に、そういうメッセージがNHKから届いた。
聞けば、カミュのペストを読んだ方を探してるとか。
1947年に発行されたこの本は、withコロナ、afterコロナを生きるためのヒントになるのでは?
ということで、これを読んだ方がどういう考え方で、どう仕事されてるか?ということを取材したかったらしい。
カミュのペストは、2年前ぐらいに、異邦人を呼んだ後に、不条理文学であるカミュの世界観をもう少し知りたかったから読んだことがあった。
カミュのペストは、194×年、アルジェリアのオランという場所で、ペストが流行し、ロックダウンした街で、人々がどう行動したかを書いた本で、人々の心境を事細かに、書いてある。
驚くべきことは、今回、コロナで起こったような出来事が、このペストでも詳細に描かれてたこと。
このペストは、東日本大震災の時にも、物凄く売れたとらしい。
緊急時の人々の行動や社会の動き方は、時代がかわろうとも、あまり変化しないようだ。
*
話は変わるが、東日本大震災以降、地方への移住が増えたようだ。
僕は、田舎に住んでるが、震災以降引っ越してきたという人に数多く出会った。
どうしようもない大きな力が、目の前に迫った時に、僕らは生き方を考えるようになる。
今回のコロナも、確実に生き方を考えさせられるだろう。
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ペストの中では、ペストに対して、いろんな立場の人が描かれている。
ペストに正面から、立ち向かう人
人々の動きをつぶさに観察する人
ただ怯える人
ペストのおかげで金銭的に潤った人
ペストで居場所を見つけた人
意味づけをする人
今回のコロナでも、そうだろう。
一つの出来事に対して、こうも立場が違う人がいるというのはすごく考えさせられる。
緊急時に大事なのは、他者への想像力ではないだろうか?
今回のコロナでも、ほんとにいろんな立場の人がいた。
ムカつくと思うこともあると思うけど、ほんとにいろんな立場があって、環境によってそうせざるを得ない人がいたはず。
他者への想像力をもっと働かせることができたら、県外ナンバーの車に石を投げたりしなかったんじゃないかな。
僕らは、不条理の中で生きてる。
頑張っても報われないことも沢山ある。
それでも、それを全部受け入れていくしかない気がする。
本書の中で、ペストと戦い続けたリウーは言う。
ペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです。
誠実であること。
ペストとは、つまり、予測できない大きな力のことで、それは僕らが生きている以上、常に起こりうる。
言い換えるなら、この不条理の世の中で、生きていく唯一の方法は、誠実さ、なのかもしれない。
ペストで、印象的だったのは、いつ終わるか分からないペストの大流行で、人々が疲弊して、希望がなくなっていったこと。
人は、自分の力では何もできなくなった時に、生きる気力を失うんじゃないかな。
そのために、手触り感がある世界で生きるってのはすごく大事な気がする。
田舎で生きるっていうのは、自分でコントロールできるものが大きくなる。
震災やコロナなど緊急時に、田舎の価値が見直される意味がなんとなくわかるような気がする。
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そんな急なことで、ペストの取材を受けるようになって、その後は、いつも通り、耕作放棄のゴミ拾い。
暑い中、軍手をして、長袖長ズボン、万全の態勢で草むしりしてた。
すると、急に、ヂカッー!!!と経験したことない半端ないいう痛みが右手の中指を襲った。
どうやら、ムカデに噛まれたらしい。
(見てないけど、症状的に)
こんなに防御して、かつ、こんなにきついことしてるのに。
まさに、不条理。
でも、しょうがない。
大人しく病院に行き、薬をもらった。
まぁ、大変なことも多いが、自分の仕事に誠実にやっていこうと思う。
だいぶ片付いてきた。
あ、NHKの放送は24日水曜日の夕方らしい。