約1ヶ月の農業研修が終わり、お世話になった南知多を出発した。
びっくりするぐらい青空で、気持ちよかった。
「この空は、僕を応援してくれてるな〜」
僕は、いつも勝手に良い方に解釈するから、いつも幸せになっている。
朝のうちに、荷物をまとめて、お世話になったゆーすけさん、かおりさんと写真を撮って、ゲストハウスを出発した。
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「幸福の条件は、人とのつながりだと思う」
離れゆく南知で、ふと、この言葉を思い出した。
僕の友人で、大学生で農業をやっている杉ちゃんが言っていたことだ。
彼は、幸福について考えて、幸福と言われているブータンやスイスや北欧の国を訪ね歩いた経験から、幸福について、そんな話をしていた。
確かに、南知多の人たちはすごくつながりを大切にしていると思う。
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改めて、南知多は、愛知県の最南端に位置するところだ。
朝、田舎です。
人口1万7千人ちょっとの小さな小さなみなとまち。
朝は、行ってらっしゃい、と心地よい海風が吹き、、
夕方は、今日もがんばったね、と水平線に沈みゆく真っ赤な夕日。
何度もこの景色に癒された。
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南知多で会った人、みんなに言われることがある。
「南知多に来たら、帰りたくなくなるよ〜」
みんなこれを言うって、すごいことだと思う。
みんなが自分のまちのことが大好きなんだろう。
僕は海に近いところで育った人間なので、ぶっちゃけ、南知多って、別に特別でもなんでもないと思う。
でも、まちのひと達は地元のことが大好きなんだなってすごく伝わってくる。
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しょっちゅう、みんなで集まっている。
僕が泊まっていたゲストハウスだけだろうか。
1週間で平均して5回ぐらいは誰かが来て、一緒に食事を楽しんだ。
焚き火をして、寒い夜空の下で、星を見ながら、お酒を飲みながら、ボーッとしたこともある。
余談だが、この、ぼーっとするってこと。
僕は、普段から結構やっている。
でも、なかなかこういう機会がないらしい。
特に、都会に住んでいる人たちは。
神戸に住む祥子が遊びに来てくれた時、そんなことを言っていた。
何もしない、ぼーっと風景を眺める余裕が、田舎の醍醐味かな。
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さて、そんな人のつながりが強い、南知多。
面白いのは、お金のやり取りがあまりないこと。
ゲストハウスのゆーすけさんは、自分でバーのテーブルや椅子を作っているが、その木材はほとんどもらってきたものだという。
中には、数万円するような木材がある。
そのことは、みなみちたのうたっていう歌にもある。
「魚と野菜を交換〜」
何か作業を手伝ってくれたのに、お金を払っても受け取らない人も多いらしい。
最近は、信用経済と言われてるが、まさに、ここは、信用経済で回っている。
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そういえば、僕の地元もそうだ。
なんかあれば、すぐ差し入れするし、手伝いも頻繁にするし、しょちゅう集まっている。
そういえば、僕がまだ中学生だった時、挨拶しただけで、良い挨拶だと言って、靴下をもらったことがある。
昔は、そんな風にして、村々で小さなコミュニティを大切にしながら、みんな家族として生活していたんだと思う。
でも、いつの間にか、それが煩わしくなってきたりなったのかな。
今は、そんな村のコミュニティが薄れてきている。
僕はちゃんと体験してないから、その良さも悪さもわかんないから、なんともいえない。
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祥子が言っていた。
「田舎にちょっとした憧れはあるけど、生活できるかとか、何して良いか全然わからんけん、住むってなったら不安多いよね」
これから、ますます田舎に住めなくなっていくと思う。
仕事がないから。
そういう人がいないから。
田舎って、人生がある程度見えた人の、余生を楽しむ場としてなっている。
何か成してやろうとギラギラしている人が住む場所じゃないとなっている。
だから、僕は住んでみたい。
僕は、田舎の概念を変えれたら良いなって、ギラギラしている。
田舎でいろんな実験をやっていきたいと思う。
そして、小さなコミュニティの中で、すごく幸福に包まれて、自然に囲まれて、ちゃんとお金を稼いで、新しい文化を作って、世界に発信していく人になりたい。
さあ、軽トラ生活が始まるぞ。