佐賀の新米農家、ど田舎から

佐賀の新米農家です。日々、気づいたことを日記としてかけたらいいなと思ってます。

半端ない料理に囲まれた最高の夜に、感じたこと。

昨夜は、自分にとって忘れられない夜だった。

 

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僕は、愛知県の最南端の南知多半島にあるミーというマイクロリーフとエディブルフラワーの農家で研修をしている。

4月から、佐賀の伊万里というところで、農業をするため。

このブログではその研修を通じて、考えたことや学んだことを日記として毎日書いていきたい。

 

研修先の真野さんが、ル クリューズという高級レストランに連れていってくれた。

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めちゃめちゃ緊張した。

 

だって、こんな店、始めてだ。

 

行く前に調べていたら、

 

1食1万円以上する。

 

東海道ミシュランガイド、ゴエ ミヨにも載ってる。

 

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レバーが圧倒的な主役に見えるが、その横のピクルスもびっくりするほど、美味しくて、野菜が箸休めにならなかった。この上に載っているのは玉ねぎの根っこ

 

ゴエ ミヨは日本ではあまり有名ではないが、フランスではミシュランと並んで双璧をなすと言われている。

音楽に例えると、紅白とレコード大賞みたいな感じらしい
(この例えは真野さんのやつ、超わかりやすかったのでそのまま使わせてください笑)

 

さらに、このルクリューズ、常滑というすごく小さい街駅外れのなんでもないところにポツンとある。

 

席は8席しかない。

 

地元の生産者を渡り歩いて、ここでしか作れない料理に拘られている。

 

7割以上を地元の常滑焼で使って、デザインまで依頼して作ってもらっているらしい。

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海苔のクレープは、海苔の独特な癖があまりなく、びっくりするぐらい海苔の美味しいところだけが味になっていた。また、使われている野菜は素材の味がしっかりしていた。金柑は火を通してあって甘さが際立った。ここでも、ミーのリーフやフラワーがふんだんに使われている。

 

シェフの渡邊さんは、自分が歩んできた人生で料理を作りたいと話をされていた。

 

シンプルに見える料理の一つ一つに渡邊さんの考え方が詰まっていて、その話を聞いていると、ガシガシと自分の心に刻まれるような感覚になった。

 

こんな料理、本当に食べ方すらわからない。

 

僕が、

 

「これ、食べる順番とかありますか?(野菜と肉どっちを先に食べたらいいですか?」

 

って聞いたら、

 

「そんなのどっちでもいいよ」

 

「うちの料理は、マナーよりも、食べる人が、そんなの気にしないがっつくような料理を作りたい」

 

と渡邊シェフ。

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人参のスープ。シンプルだが、しっかりと味がしていて、本当に美味しかった。上に乗ってるリーフはミーで作っているマイクロ人参だ。このリーフの影響で、スープに加えて、もう一回、人参の味を楽しめたのがしたのが最高だった。ちなみに、人参の花とかもあったら嬉しいらしい。

 

渡邊シェフの料理のこだわりについて話をたくさん聞いた。

 

美味しい料理は、火加減と塩と素材という3つに気を使うだけだと。

 

本物は、すごくシンプルだ。

 

だから、ごまかせない。

 

この中で、素材を担当するのが、生産者(農家)の役割だ。

 

「どんな野菜を使うんですか?」

 

その質問に対しては、野菜、本来の味をしっかり出しているものということだった。

辛い野菜はしっかりと辛く、苦い野菜はしっかりと苦い。

 

また、面白かったのは、100点の食材はいらないという話だった。

 

「食材が70点でも、シェフが頑張れば100点になる。食材とシェフで合わせて100点取れればそれでいい」

 

この完璧じゃなくていいという話はすごく興味深かった。

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何時間も煮込まれた鯨は、びっくりするほど柔らかかった。また、根菜中心の中に、ミーのマイクロパセリがアクセントして、飽きさせないすごくいいアシストをしていた。

 

「じゃあ、100点じゃなくていいなら、どういう基準で、その食材を選ぶんですか?」

 

「うーん、作っている人かな」

 

なるほど、作っている人。

 

どんな思いを持って、どんなこだわりで、どんなものを作っているのか。

 

本当にシェフが使いたいと思うかどうかは、松本啓がいい農家かどうかにすぎるんだな。

 

それはすごく希望が湧いた。

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しらこはびっくりするぐらいトロトロしてて口の中でとろけていった。こんなに小さいのに、口の中の感覚を全部持っていってしまった。

 

渡邊さんは、さらに、農家としてアドバイスをくれた。

 

「農家は、作ってから、お客さんの口に入るまでが仕事。だから、自分が卸しているレストランにちゃんと足を運ばないといけないよ」

 

本当に、そうだなって、今日、実際に、レストランに行ってみて思った。

 

普段収穫しているものが、お皿の上でこういう使われ方をしているというのは、実際に見てみないとやっぱり想像できない。

 

食材は、シェフによって使い方もまちまちだ。

それを生の現場で体験できる。

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温泉卵は、周りのタレと天ぷらとなめこが和風味を出していて美味しかった。そんな和風の雰囲気の中でカラフルな花が散りばめられていて、味と見た目のギャップがすごく面白かった。

 

また、細かく色の注文や新しい食材の提案もいただける。

 

僕も農家になったら、料理の食べ歩きをして、シェフの話に耳を傾けることに徹底的に投資したい。

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お魚の上に、ふんだんに使われているミーのマイクロハーブたち。陸の曲者と海の曲者が混じり合うことで、お互いがお互いの良さを出していた。ドライビーツも色がさらにこの料理を引き締めていた

 

「基本を徹底的に押さえたうえで、どんどん型破りなことに挑戦してほしい。とにかくオンリーワンになったがいい」

 

基本を抑える。

まずここが大事なところだと思う。

 

毎日、毎日、地味な作業だけどそれを繰り返して、繰り返す。

きっと途方もない日々だろう。

 

でも、僕はその先の景色が見てみたい。

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かもだから、ねぎ。ということでミーのマイクロねぎが使われていた。お肉は脂も少なく最高に美味しくて1日たった今でもその味がうっすらと口に残っている。

 

一流の人たちはみんな同じ道を辿るんだろうか

 

驚いたのは、真野さんが普段してくれる話と、全く同じことをシェフの渡邊さんもしていたこと。

 

結果を出す人って、やっぱり真は通じるんだなって一人で感動していた。

 

これがきっと基本なんだろう。

 

そんな人々を感動させている人たちの作品を味わわせてもらい、考え方を聞かせてもらい、痺れた。

 

こんな人たちと同じステージで仕事がしたい。

 

僕の中で、何かスイッチが入った気がする。

 

「真野さんが目標じゃダメだよ。超えないと」

 

僕もそう思う。

真野さんは4年でここまできた。

このスピード感すごい。

 

 

でも、僕は真野さんを見ているからもっと早く行けるはずだ。

とにかくまず、この一年が勝負だと思う。

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はちみつのアイス。アイスなのに、何の飾りもない。これはシェフが、カンテサンスにいった時に、同じく何の装飾品もないアイスを見て感動したことから。とにかくこの蜂蜜が濃厚すぎてめちゃめちゃ美味しかった。

 

採算度外視で、たくさん失敗して圧倒的なものを作り出したい。

 

最後に、ここに来る前の僕は、一流の農家になるための努力をしてなかったと思う。

 

真野さんはそれをいろんな形で僕に伝えてくれた。

本当にありがたい。

 

南知多のミーに研修に来れたことに、感謝しかない。

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最後のお茶。もう最後なのかと名残惜しさが残るなかで、時間をゆっくりとしてくれたようなお茶の香り。

 

これからの時間の使い方。

 

まず、農家として、圧倒的な驚きと感動を与えれるような作物を作る。

 

そのために、これから数年間、全ての時間・お金・精神力をそこに集中する。

 

この夜、僕は、農業に魂を売りました。